Taj Mahal / The Natch’l Blues (1969)

The Natch’l Blues

私のソウル無知、ジャズ無知についてはこの円盤倶楽部ですでに告白済みだが、今回はブルース無知を告白します。

一応、ロバートジョンソンのコンプリートは持ってるが「一応持ってる」にすぎない。これは40過ぎたら一回腰を据えてちゃんと聴いてみようとは思っている。「ブルース3大キング」って、BBとアルバートと、えーとえーと。BBキングの有名なライブ盤は昔一回だけ聴いたが途中で寝ちまった。ジミーリードのベスト盤を持っているが、これはジェリーリードと勘違いして買ったものである。ハウリン・ウルフの「Red Rooster」よりストーンズの「Little Red Rooster」が断然好きです。ついでに淡谷のり子のレコードも持っていない。

よく「ブルースはロックの父である」的なことが言われるが、まったくその通りだと思う。それどころか「ブルースはファンクの父である」とも思っている。JBの最高な一曲「Cold Sweat」なんて聴いてると確信する。または、マディ・ウォーターズの「Mannish Boy」など僕にはスローファンクとしか思えない。

ですからブルースに対して一定の興味と敬意は持っているつもりだが、所詮そこまでなんである。これはロックンロールについても同じで、どうも50年代までさかのぼる気がおきない。もともと探究心が希薄なんで、ましてや戦前なんてとてもとても。

そんなわけで、タジ・マハールの『Natch'l Blues』は、たいていのレコ屋でブルースの棚に収められているものとしては、僕が心底好きな唯一のアルバムなんじゃないかと思う。

でもこれだってブルースとしてはかなり異色です。一言でいうなら、なごみブルース。ほんわかブルースでもいいや。歌い出しが「朝起きたら死にたい気分だった」じゃなくて、「グッドモーニング」だから。いや、歌詞なんてどうでもいいんだけどさ。所謂「ブルース好き」の人達にこれがどういうふうにきこえるのかというのは興味津々です。それでもやっぱり眉間に皺を寄せて「ブルースというのは黒人の痛みを表現し・・・」てなことを言いたがるのだろうか。

本作中一番好きなのが、というか世界で一番好きなのが「Corinna」。これはもう僕の人生のBGM。アルバムの中でも最もブルースっぽくない一曲で、うららか度ナンバーワン。ドブロとエレピがこんなに相性いいなんて知ってました?ファンク度300%だけど聴く者を弛緩させるドラムも最高だし、ジェシエドがひたすら「チッ」と刻んでるリズムギターが最高過ぎ。あとは間奏でタジがプワ〜とハープ吹いたら、もう、なんもかもどうでもいいじゃあ〜りませんか。この一曲さえあれば、なんとか来週もやっていけそうだ。