The Staple Singers / Be Altitude: Respect Yourself (1972)

Be Altitude: Respect Yourself

ザ・バンドの『ラストワルツ』に登場するステイプルシンガーズ、特にメイビスステイプルズの別格的な存在感ときたら他を寄せ付けません。こっちはポケーとだらしなく口を開けてアホ面で見とれるしかありません。リックダンコが「おれだって!」って感じで目ん玉飛び出しそうな勢いで力んじゃってるのが微笑ましい。

十数年後、プリンスのライブビデオ『サクリファイス・オブ・ビクター』にでっぷりと登場するメイビスがまた相変わらずの別格的な貫禄で、ちびっちゃいそうなくらいカッコイイ。俺が俺が俺がの唯我独尊男プリンスですら三歩下がって脇役に徹しています。

話は変わるが、おれはデラニー&ボニーが苦手です。簡単にいうと暑苦しいから。いや、別に涼しげな音楽が好きなわけじゃないすよ。ファンカデリック大好き。デラボニは悪い意味で暑苦しい。生真面目に本格派なところがどうも。ぼくたちこんなんにソウルフルですよ的なエリート感覚がちょっとね。ユーモアがない。なんかもう一生懸命さしか伝わってこなくて、ちっとも笑えない。

悲しいことだけど、デラボニが必死になってやろうとしてることって、メイビスには呼吸するように出来ちゃうことなんです。ザ・バンドやプリンスと共演するメイビスは、気分がいいからハミングしてるくらいの余裕でその場を支配してます。やたらとがなり立てたりしない。常に抑制が効いてる。でも常にドスも効いてる。凄い。故に笑える。

私が好むのは、圧倒的/絶対的に別格な人達か、そうでなければ、どうにも思い通りにいかなくてもどかしがってる人達。9割方は後者。ジミヘンやスライやプリンスですら後者。メイビスやJBは数少ない例外としての前者。

「I'll Take You There」は人類史上もっともグレイトな一曲。うららかで極上にファンキー、且つ、しみる。最初の一音「ズン」で秒殺。超ウルトライントロドンでもオーライ。この文章を書きながら15回くらい繰り返して聴いたが、書き終えてアップしたら最後に一服しながら聴いちゃおうと思っています。