大滝詠一 / Niagara Moon (1975)

Niagara Moon

さ、しばらくぶりに円盤倶楽部を再開しましょう。
昔書いたものはすべてデータ吹っ飛んじゃったから、きれいさっぱりゼロスタートということで、何からはじめようか迷ったんだけど。考え始めたところでiTuneが「三文ソング」を鳴らしたので、なんか運命めいたものを感じ、それにしたがうことにしました。

今、僕は自作の曲を宅録したりバンドでやったりしていて、それらには日本語の歌詞が乗っかってるわけだけど、それもこの『ナイアガラムーン』に出会わなければどうなっていたか判らない。

はじめてこのアルバムを聴いたのは91年か92年くらい。友達がLPを持って遊びに来た。
当時といえば、僕はとにかくファンクに夢中で、ロックなんて聴けるか、ビートルズ?はっ!きみも成長しないねえ的な段階にあった。また、ちょうどその頃に曲作り/宅録活動をはじめていた僕は、日本語への嫌悪を強めていた。ファンクに日本語が乗ってたまるかと。だから苦し紛れにハナモゲラ英語を乗せていた。アイガッタ、ユーガッタ、ガッガッ、アドンノウ、ドンチュノウ?

そんなわけで、「風をあつめて」のバンドにいた大滝詠一なんか持ってこられてもぉてな感じで、思いっきり気乗りしないまま義務感でレコードをかけたと思う。

で、ほんの30分後に僕は「日本語はファンクに乗る」という結論に至り、これだ!出来る、出来るぞう!わかるかい?ファンクは日本語OKだよ!などと言いながら友達の胸ぐらをつかんで激しくゆさぶっていたのでした。

ただ日本語乗っけてるわけじゃないんですよ。恐ろしくリズミックに、恐ろしく無意味な日本語をはめ込んでるのがめちゃめちゃカッコ良かった。「水道蛇口ひねるとジャーだよ/いつでも温かご飯はジャーだよ」とかね。どんなに音のほうがカッコ良くても日本語乗っけた途端に胡散臭くなる、という悩みに対しては、堂々ととことん胡散臭くやれば良いのだ、という回答をくれた。

もちろん、音のほうはバッチリですよ。ファンク好きとしては、JBやスライなどと並行して、ミーターズをはじめとするニューオリンズ関連に当然のごとく傾倒していた、ということもある。
全曲最高なんだけど、初聴きの時の衝撃と現在に至るまでの愛着という点で「福生ストラット(パート2)」がマイベストトラック。日本語ファンクの最高峰。

このアルバムを教えてくれたTくん。もう長いこと音沙汰ないですが、いつも感謝してます。