Big Brother & the Holding Company / Cheap Thrills (1968)

Big Brother & the Holding Company /

実はずっと苦手でした。ジャニスは自らをブルースシンガーと呼ぶけれど、ブルースとは本当にこれほどまでに痛いものなのだろうか。おれはそうは思えない。ヤツらにはもっと余裕みたいなものがある。少なくとも音楽という表現行動自体には娯楽や芸としての意味合いが強く含まれるのではないか。
もし、ソウルミュージック=魂の音楽、とするならばジャニスこそは最高のソウルシンガーなのではないか、とも思える。後天的なものだからこその全身全霊をかけた、それこそ身を削るような表現だ。逃げ場なし。そんなひたむきさに今更ながら胸を打たれている、というわけです。
なにかと酷評されがちなビッグブラザーの演奏力ですが、この取り合わせでしか出せないガムシャラなカッコ良さがあっておれは好きです。