Crosby, Stills, Nash & Young / Deja Vu (1970)

Deja Vu

今日は「めでたくCSN&Yのデジャブを好きになった記念日」ということで、めちゃくちゃ久しぶりに更新しちゃいます。

いやーもちろん良いアルバムなのは知ってましたよ。全曲名曲だと思うし、間違いなく名盤です。でも何故かずっと愛着が持てなかった。なんでだろう?

まず、単純に名前を並べただけのグループ名がどうも気に入らない、というのはある。こんなすごいメンツが揃ったスーパーグループでございますよどうですか参りましたか?みたいなニュアンスを感じずにいられない。
それに「クロスビースティルスナッシュアンドヤングいいよねー」とか発声する気になれないし、「シーエスエヌアンドワイ聴いた?」とかいうのも違う気がする。且つ、人名の羅列ゆえにへたな省略も出来ない。例えばバッファロースプリングフィールドのような長ったらしいバンド名の場合は、「バッファロー最高でしょ」とすんなりいけるのだが、「クロスビー最高!」じゃ訳分かんない。それでもう会話に出す機会がなくなるのだ。
私の場合、「今○○にハマってる」と周囲の人間に宣言することが結構重要で、それにより愛着を深めていくのです。ちょうどあれです、恋愛と同じです。ひそかに気になる女性がいたとして、誰かに「実はおれ○○さんがお気に入りなんだ」と打ち明けた途端に猛烈に恋に落ちてしまう、あれです。

というわけで、グループ名問題は結構デカイんだなと書きながら思いましたが、もちろんそれだけじゃない。音が立派過ぎてムカつくのだ。出来が良過ぎるんです。なんでこんな名曲ばっかりなんだ。10曲あったら2曲くらいは駄曲があって、それでも全体的にいいバランスだねくらいの感じが好きだ。それが、4人揃いも揃って名曲ばっかり書きやがって、おまけにジョニミッチェルまで引っ張り出すとは。完成度高過ぎ。

アルバムしょっぱなから、コーラスワークが完璧過ぎて居心地が悪い。あんたらクイーンか。
例えば、グレイトフルデッドの『ワーキングマンズデッド』とか『アメリカンビューティ』のカントリーテイストなコーラスワークって、もろCSN&Yに触発されてるらしい(デジャブにはジェリーガルシア参加してますな)ですが、デッドのハモリはもっといい加減で危なっかしくて心地良い。それにひきかえ、「carry on」のハモリはあまりにも出来が良過ぎて腹立たしい。

そもそも本作のことをけなしてる人って見たこと無い。それがまた気に入らない。意外とサージェントペパーズの悪口なら言う人はいる。でもデジャブは「センスの良いロックファンなら全員大好きな名盤」的なポジションなんじゃないかと思う。いや、大好きでなければならない、だな。その押しつけがましさにはついつい反抗したくなるでしょう。

でも。ちくしょう。たしかに素晴らしい。聴くほどに、ケチのつけようがない。
しかたないから本日、愛聴盤として認定いたしました。